TOTAL LIFE MANAGEMENT トータルライフ経営

タイトル背景

代表からのメッセージ

経済・経営はこれまで体験したことのない困難な局面に入っている。本当の問題は何か。どうしたらこの事態を拓くことができるのか

今日は、20世紀に成功してきた問題解決のやり方では打開できない大きな壁にぶつかった経済、経営の八方塞がりに対し、新しい解決の道をどう開くかについてお話したい、と思います。
御承知のように経済・金融は未曽有の困難な局面に入っております。その背景には、価格革命を始めとして、世界経済の構造的な変化があり、米国経済も変調をきたし始め、そのために、これまでの土台そのものが揺らぎ、これに適応しながら問題解決をしてゆくに当たって、なかなか極め手がない状況にあるというのが現状であると思われます。
また、日本の場合バブル経済の後遺症が残っていて、その一つが金融システムの脆弱化ということです。こういうきびしい経済のもとでは、本来は企業を支えるべき銀行が、その自己資本比率を守るために、貸しはがしをすることによって中小企業の皆様の足を引っ張るという、逆の状況になっています。

竹中プランと金融界の意見の食い違い
こうした事態を打開するという意味で不良債権の処理促進ということが大きな政治課題になり、竹中プランが打ち出されている状況にあります。しかし、これも金融界との間に大きな意見の食い違いがあってなかなか進まない。国民の側に立ってみれば一体どういうことかという状況になっております。
端的に申し上げればどちらの言い分にも理屈があります。
竹中大臣の側に立てば、構造変化に適応できない企業や金融機関が存在しているために、市場原理を生かした自律的な経済の調整機能が働かず、せっかく力のあるところが伸びられない。そういう意味で思い切って過去を整理して新しい活力を生かす必要があるという考え方であります。
一方、銀行界の側からみると、その方向は判るが、現実を無視した乱暴な手術になりかねない。そのために発生する貸しはがしの増加や、経済に与えるデフレ効果に対して、それを打消すための政策は財政的なゆとりがなく、このままでは経済に破壊的な影響を及ぼす可能性が強いということです。それも筋の通ったお話しです。
しかし、全体からみればどちらの主張も正しいとはいえません。竹中大臣の構想の前提は、今の不良債権もその責任は銀行にある、その責任を追求することが公的資金投入の前提、となっています。しかし、銀行は既に80兆円以上の不良債権を償却している。これはバブル経済の時の銀行貸出の8割以上に相当するものです。だとすれば、今の不良債権は経済構造の変化に対する産業側の適応の遅れや、政策の失敗によるデフレ経済の深刻化によって生じた新しい問題であります。
又、一番の問題はデフレで資金需要がないという状況だ、となると金融だけに焦点をあてても景気が良くなる効果は殆ど出ないことになり、これを強行してもあまり意味がない。ということは、これは今の状況では経済政策の中心問題ではないということを明確にしておく必要があります。
一方、銀行界は信頼を失っています。何を言っても聞いてもらえないほど信頼を失った、というのは、これまで不良債権の当事者でありながら、不良債権がどういう実態なのかを曖昧にし、責任も明らかにせず、自分たちにできること、国の力を借りねばならないことをはっきり言ってこなかったことに起因していると思います。足並みが乱れていたし、受身であった。しかも自分を守るために貸しはがしをする。この結果、信頼を失い、当事者能力を失い、実態を良く知らない人たちに主導権をとられてしまっている。これではいけません。この機会にしっかり責任は明らかにした上で、言うべきことも言い、少なくとも当事者能力を回復できるよう、信頼の回復につとめなければいけないと思います。
第3の道-21世紀へのパラダイム転換
(また、)竹中プランも含め、行政や政治の側の問題としては、日本全体としてどういう新しい国づくりをするのかというビジョンが明確でない。そのために今一番必要な事は何であるのか、という優先順位を立て、戦略的に展開してゆく事ができていないと思われます。ならば第3の道は何であるのか。銀行側も、竹中大臣の側もシステムをどう変えるかというだけでなく、この八方塞がりの事態が呼びかけている時代のパラダイムの転換という事をもっとつきつめて、それを共通の前提にして、新しい問題解決の道をひらく事が何より必要ではないかと思われます。では、私たちに求められている21世紀へのパラダイム転換とは何なのでしょうか。
20世紀後半の経済は世界も日本もお金の力、技術、システムという「人間の外にある力」を最大限に活用することによって、かつてないめざましい発展をしてきました。しかし、その反面で「人間の内側の耕し」を怠ってきたために、経済を動かし、経済発展の成果を活かす人間の側には、エゴイズムやニヒリズムがはびこり、貪り、欲得によって地球環境の汚染や家庭、教育の荒廃、また様々な分野でのリーダー層の倫理観の低下、あるいは凶悪な犯罪や自殺の増加など、経済や社会の土台そのものが腐蝕しつつあり、もはや放置できないところまできています。もちろん変化は一段と急激であり、これに対して間髪入れず対症療法を施しながら進む必要はありますが、同時に、それ以上に、時代のパラダイムを転換するという、根本療法を並行してゆかなければならないときにきています。それがこの現実からの呼びかけであると思われます。
それにはまず、経済も経営もその部分をその枠組の中だけで考えるのではなく、これだけの歪みや痛みが出てきた経済発展とは、私たち人間にとってどんな意味があったのか。より広くトータルに、人間と世界の関係全体の中の部分としてその意味を考え、答えを見つけてゆく必要があると思います。
また、かねて高橋佳子先生が仰っているように、経済・経営、そして政治や医療、教育などあらゆる分野をもう一度「人間を原点として編み直してゆく」という出発点に立ち直す必要があると思われます。それは例えば、「経営者である前に一人の人間である」という視座に立つ必要があるということでもあります。それによって私たちは、「試練や事態は私たちに何をせよ」、といっているのかを先入観なしにとらえ、経緯にしばられない対処をしてゆくことを可能とするからです。
八方塞がりで日本全体が苦しんでいる今だからこそ、高橋先生のTL人間学に基づく新しい経済・経営の可能性を、もっと多くの人に知って頂きたいと願っています。
創世潮流その具体的な実践については、近々、「TL経営とは」のページにご紹介させていただく予定です。
また、医療や教育分野などの同志の人たちと共にTL人間学とそれに基づく新しい定見、実践についてお伝えする雑誌「創世潮流」を発刊しております。現在第2号まで発刊済みですので、ぜひお読みいただき、皆様の指針としていただければと思います。

久水宏之プロフィール

略歴
1931年生まれ。 東京大学法学部卒。
1953年、日本興業銀行入行、調査部長、常務取締役業務部長を経て、1983年退任。
この間、大蔵省の諮問機関・金融問題研究会委員等を歴任。
その後、経済評論家として、執筆、講演、経営相談などを行っている。
プロフィール
興銀の中では、調査、企画、証券部門などの日本の産業、金融の基本に関わる業務に携わる。しかし、これまでの欧米主導の経済が前提とした人間観、世界観の限界を痛感。退任して高橋佳子氏に師事してTL人間学を学び、新しい経済ビジョンを求めての評論活動や経営者の研修などに携わってきた。
執筆先
朝日新聞、毎日新聞、サンケイ新聞、「財界」、「金融財政」、「財経詳報」ほか。

TL経営研修機構代表 久水宏之 経済評論家

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